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佐助が泣いている間も、小十郎は優しく話し掛けてきてくれていた。
その優しさにも、涙が出てきた。
「……も、平気だから…」
ゆっくりと小十郎の身体から身を起こした佐助。
顔には涙の跡と、目が少しだけ赤かった。
「…話しても、いいか?」
優しげに問いかける小十郎。
「…うん」
小十郎から目線を反らしたまま、こくりと頷く。
「…さっきの女性は、俺の上司の娘さんだ。」
ああ、やっぱり
「…それで"仕事"ね?」
「…すまない。佐助…」
悲しそうに笑んだ佐助に、心から申し訳無さそうに謝る。
「え、謝んないでよ……? 小十郎さんのソレは仕事だったんでょ?…やましいことがないんなら謝らないで」
まるで、佐助自身に刷り込むように無機質に答える。
「……佐助」
コイツは
本当に
「それで納得しているのか?」
小十郎から目線を反らせ、肩を下げている佐助の手を握る。
「………してるよ」
「俺の目を見ろ」
尚も目線を反らしたままでいる佐助。
小十郎の言葉に、おずおずと目線を合わせる佐助。
「…して、るよ」
ほんの幽かに呟く。
「……じゃあ、何故泣いている?」
「―――――え?」
佐助も気付かない間に、佐助は泣いていた。
静かに、涙が佐助の頬を滑り落ち、くしゃくしゃになったシーツにシミを作る。
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