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「……小十郎さん、遅いなぁ」
佐助は、広いリビングで一人ごちに呟く。
今は夕方の5時頃。
今日は小十郎と夕飯を食べる約束をしていた。
…また、仕事かな。
小十郎は大きな会社で働いているため、急な仕事などがはいることが多い。
リビングの壁に掛けられた時計の、チクチクと小刻みに時を刻む針を目で追う。
すると、佐助の携帯電話から軽快な着信音が聞こえた。
小十郎さんからのメールだ…
小十郎の着信音だけは特別な音を使っているので、すぐに分かった。
パカンと携帯電話を開けて、メールの内容を確認する。
『急な仕事がはいった。今日の約束は少し無理そうだ…。悪い。』
あぁ、またか。
そう思いながらも、メールの返信を打つ。
『うん、分かった!
夕ご飯は食べてきちゃうでしょ?
俺様だけご飯先食べちゃってるね?
お風呂沸かしとくから!(^^)/』
いつもと似通ったメールを打って、送信する。
………一人でご飯、か。
一人では外食をする気にもなれないし、かと言って何かを作ろうという気にもならない。
徐に携帯電話を取り出し、ある男へと電話をかけた。
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