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今の顔は小十郎には見せられない。
…こんな泣きそうな顔なんて。
旦那を家まで有無を言わさずつれて帰った。
「さ、佐助!!どうしたのだ!!」
「…邪魔しちゃダメでしょ?旦那」
旦那に背を向けたまま呟くように諭す。
「…だが……」
旦那の言い訳も聞かずに自分の部屋に入る佐助。
その後をついていく旦那。
部屋に入るとベッドに佐助が座って、上着を脱いでいた。
「……何故、何故佐助は怒らないのだ?元々はお前が先に約束をしていたのに、あのように女子にとられてしまって悔しくはないのか?憤りを感じないのか?」
佐助の前に座りこむ。
「…ノックしろって何時も言ってんでしょ?
…そりゃあ、まあ。怒ってるは怒ってるけど…。仕事だから仕方ないじゃん?俺様のワガママなんかで小十郎さんを困らせたらいけいしね……」
はははと哀しげに笑う。
「……では、佐助は本当はどうしたいのだ?俺には分からぬ」
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