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――僕は絵本が大好きな子供だった――
小さな妖精のお話・異世界の勇者のお話・悪い魔法使いのお話……
毎晩のように寝付きの悪い幼い僕をあやすように語られたお話はどれも夢が沢山詰まっていた。
話し手も聞き手も瞼は重く、意識は現実と夢の境界線を歩きだす。
その時の揺られているような感覚が大好きだった。
悪夢なのか現実なのか解らないあの感覚が大好きだった。
お話は全て本当の事だと信じて疑ったことがない。
――あぁ、そうか……私は絵本が大好きな子供だったみたいだ。
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