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脱がせた後、スーツを手に取って思う。
やっぱり肌に当たる滑らかさが私のとは明かに違う。まぁ私の場合スーツになんてこだわりが全くなく、いつもセットでこの値段!ポッキリいくら…ってお得感丸出しのスーツしか買わないから比べるに値しないんだけど。
明かりの灯っていない真っ暗な部屋の片隅にスタンドランプがあるのが見え手を伸ばす。
柔らかい優しい光りが放ちそこにスーツを近付けた。
Brioni…!?
う、嘘っ!?
スーツに疎い私でもBrioniぐらい知ってる。
なんて言うのは嘘だけど前に久志がそのブランドの事を口にしてたからよく覚えてる…
一軒家といいスーツといい。何?杉浦さんってお金持ち?
それとも本社の主任にもなると給料も格段に良いとか?
そんな考えを巡らせながら手に持つスーツを目の高さまで掲げ頬に押し当てた。
やっぱり高いスーツは全然違う~~
「ぷっ」
突然 吹き出した様な声がしビクリと体を震わせる。
だってこの部屋には私と酔って爆睡中の杉浦さんしかいないはずだから。
『す、杉浦さん?』
もしかして起きたのかな ?なんて思いスタンドランプだけの薄暗い中 杉浦さんを確認しようと顔を近付ける。
徐々に近付く杉浦さんの目が欝すら開いてるのが見え私は少し後退りした。
『お、起きてるなら声かけてくださいよっ!?』
「いや邪魔しちゃ悪いと思って」
いや、寧ろ邪魔してくださいっ
これじゃあ杉浦さんのスーツにほお擦りしてる変な奴じゃん。
『あの、今のは違いますからねっ』
「何が?………頭いって」
私の奇怪な行動は酔ってる杉浦さんにはどうでもいいのか彼は俯せのまま眉間にシワを寄せている。
『あっ み、みず…水持って来ましょうか?』
「ん。…頼む」
杉浦さんが頷いたのを見て急ぎめに寝室を出た。
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