18109人が本棚に入れています
本棚に追加
『あの、彼から聞いた話しですが 昔から両親とは折り合いが悪いと聞いてます。
その理由私が聞いてはダメでしょうか?』
単刀直入に聞く私を少し驚いたような顔で見つめるお母さんだったけど、それも直ぐに柔らかい表情に戻った、きっと聞かれると予想していた事だったのかも知れない。
「奏から何を聞いたのか分からないけど、相当酷い言われようだったでしょう?
でも仕方ないの、本当に奏には酷い事ばかりしてきていたから私。
小さい頃には何度か手を上げた事もあったくらい。
奏の他にもね姉がいて、その子がそんな私をよく止めてた」
少し曇った表情になったお母さんから目を逸らし膝の上でギュッと握った手を見つめた…
私の知らない杉浦さんとの過去を話す彼女の話しを遮らないようにただ黙ってそうしていた。
「私の旦那…もう別れてしまったから “元“ ってつくんだけど、その旦那と瓜二つなのよ奏って。
まだ産まれたばかりの頃の旦那は良かった、本当に私を大切にしてくれていて。
勿論 上の子の事も奏の事も大切にしてくれてた…
だけどあの子が小学生の高学年に上がった頃、彼は急に家に帰らなくなったの…たまに帰って来ても口を聞かなくなった。
初め何が起きたのか分からなくて本当に戸惑ったけれど、だけどその理由は直ぐにわかったの…
浮気してたのよ彼」
『え?』
口を挟まない様に注意していた筈なのに、思わず驚きの声を上げてしまった…
そんな話し、杉浦さんからは何も聞いていなかったから…
勿論 幼い頃だから知らなかっただけかも知れないけど。
最初のコメントを投稿しよう!