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「それからの私はもっと最低よ、旦那に何も言えないぶん彼にそっくりな奏に全部当たっていたんだから。
ずっと…今までずっと全部あの子にブツけてきたのよ!」
叫ぶようにそう言葉を落としたお母さんは震える手で顔を覆った…
「それでもね、今になってやっと全てを彼に吐き出せたのよ。
別れる事にはなったけれど、全てを話せたら吹っ切れたの…私は今までこの人の何に怯えてたのかしらって、
家庭を顧みない愛情のかけらも無いあの男にムキになってしがみついて本当にバカらしかったわ…
今じゃ娘も失って、私の手元になんて何も残っていないの。
都合がいいのも重々承知だけれど、全てを吹っ切れた今だからこそ 心から反省出来たの、奏にして来た今までの事全部…
葬式の前の日に奏に言ってしまったあの事も取り消したい!」
お葬式の前の日…?
なんの事かと聞き返そうと思ったけれど、私が言葉を落とす前にお母さんが言葉を紡いでくれた…
「お前が死ねばよかったのに。ってそう言ってしまったの…」
小さく呟かれたその言葉は静かな病室内に響き私の胸へと突き刺さる…
だって、それを聞いた杉浦さんはどんなに自分を責めてどんなに苦しんだだろうって…
私には計り知れない程の悲痛な思いがあったに違いなくて やりきれない思いが私の胸にも重くのし掛かる…
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