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青年は愛紗に気づいたようだ。
「こっちは……」
「関羽。有名だから知ってる」
「関羽だ。以前はご主人様を救ってくれたことに感謝する」
手を合わせてから愛紗は青年に頭を下げる。
「大したことじゃないから礼を言われることはない」
「しかし、助けてくれたのは事実だ。今度礼をさせてくれ」
頭を下げ続ける愛紗に青年は居心地が悪そうに頬をかく。
「その内頼むよ」
そう言うとやっと愛紗が頭を上げた。
「で、お主は何を?」
「昨日釣った魚が余ったからな。売りにきたところだ」
「すっごく釣ってたもんな」
「とりあえずは帰るところだ。天の御遣い様」
一刀の隣に立って、愛紗に聞こえない声で囁く
「また会おう。その時、お前はこの世からいなくなる」
「え………?」
隣を見ると、青年はすでにいなかった。
「ご主人様、警邏に戻りましょう」
「あ、あぁ。そうだな……」
青年の言葉を気にしながら、一刀は愛紗の元へ小走りで行って警邏を再開する。
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