72人が本棚に入れています
本棚に追加
「今頃、他の場所でも始まる時間だ」
--呉の屋敷--
「雪蓮様!大変です!」
「どうしたの、明命?」
屋敷の中の広間には呉の王、雪蓮の他に冥琳に祭と穏、妹の蓮華と小蓮。思春と亞莎も脇に控えている。
広間に飛び込んできた明命を見て雪蓮が驚く。
「た、大変なんです!非常に大変なことに!」
「み、明命、とりあえず落ち着きなさい」
蓮華が明命に手をおきながら言う。
「ありがとうございます、蓮華様。少し落ち着きました」
「それで、どうしたの明命?」
「はい!呉の屋敷に、侵入者が!」
「侵入者?」
「どういうことだ?見張りの兵は何をしている?」
冥琳が腕組みをしながら状況を報告するようにする。
「それが、見張りはいつの間にかやられていて………今もあちこちで兵がやられています」
「一体何者なんだ……?」
「ハッハッハッ!冥琳よ、よいではないか。儂がその侵入者を仕留めてやろう」
「祭様~、相手の正体もわからずに動くのは~危険ですよ~」
「穏、このままでは儂の腕が鈍ってしまうわ」
今すぐにでも飛び出していきそうな祭を穏が止めている。
「本当に誰なんでしょう。人数はわかりますか?」
亞莎の質問に明命は悔しそうに首を横に振る。
「わかりません。倒れている兵の周りには誰も……」
最初のコメントを投稿しよう!