三章

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「今頃、他の場所でも始まる時間だ」 --呉の屋敷-- 「雪蓮様!大変です!」 「どうしたの、明命?」 屋敷の中の広間には呉の王、雪蓮の他に冥琳に祭と穏、妹の蓮華と小蓮。思春と亞莎も脇に控えている。 広間に飛び込んできた明命を見て雪蓮が驚く。 「た、大変なんです!非常に大変なことに!」 「み、明命、とりあえず落ち着きなさい」 蓮華が明命に手をおきながら言う。 「ありがとうございます、蓮華様。少し落ち着きました」 「それで、どうしたの明命?」 「はい!呉の屋敷に、侵入者が!」 「侵入者?」 「どういうことだ?見張りの兵は何をしている?」 冥琳が腕組みをしながら状況を報告するようにする。 「それが、見張りはいつの間にかやられていて………今もあちこちで兵がやられています」 「一体何者なんだ……?」 「ハッハッハッ!冥琳よ、よいではないか。儂がその侵入者を仕留めてやろう」 「祭様~、相手の正体もわからずに動くのは~危険ですよ~」 「穏、このままでは儂の腕が鈍ってしまうわ」 今すぐにでも飛び出していきそうな祭を穏が止めている。 「本当に誰なんでしょう。人数はわかりますか?」 亞莎の質問に明命は悔しそうに首を横に振る。 「わかりません。倒れている兵の周りには誰も……」
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