一章

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「…………」 何故か青年が不気味に感じたので静かにその場から去ろうとすると、 「帰るのか?」 振り返らずに青年が聞いてくる。 「う、うん。まだ仕事があるだろうし」 「そうか。気をつけてな」 それだけ言って再び釣りに集中してしまう。 その後ろ姿を見ながら一刀は城へと歩く。 「変な奴だったな………それに……」 腕を組みながら考えていると、周りを盗賊に囲まれてしまった。 (しまった!剣は部屋に置いてきたから、武器がない!) 「おい、お前噂の天の御遣いだよな?」 「……だったら何だよ?」 「金目の物を持っていそうだし、拐ってもっと金を要求できそうだな」 リーダーと思われる男が剣を抜く。それに続いて周りの盗賊もそれぞれ武器を出す。 「おい!たっぷり可愛がってやれ!ただし殺すなよ。殺しちまったら利用できねぇからな!」 それを聞いて仲間は笑いながら一刀との距離を縮めていく。 (や、ヤバい。どうするどうするどうするどうする!?) 必死に頭をフル回転させるがいいアイデアは出ずに後ろにいた盗賊に捕まってしまう。 「くっ………!」 「やっちまえ!」 バシィッ! 軽快な音がして、盗賊の1人の武器が落ちる。
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