一章

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バシィッ! もう一度音が響いて、今度は一刀を捕まえていた盗賊が倒れた。 「誰だお前!?」 そして一刀の前に立っているのは釣りをしていた青年。 「お前……」 「下がってろ」 「ちょ、ちょっと……」 「これ持っててくれ」 青年は一刀に魚の入った篭を渡してから盗賊に近づいていく。 「ちっ、護衛がいたか……」 明らかに動揺し始めたリーダー。 「ど、どうするんですか!?」 「ビビることはねぇ!相手は1人だ!数で勝っているこちらが有利!それに、奴の武器は釣竿だ!」 リーダーの言うとおり、青年が肩に担いでいるのは釣竿。 「囲め!」 盗賊たちが青年の周りを囲み、逃げ場を作らない。 「………げた」 「あ?」 「お前らがうるさいから、魚が逃げた」 「知るかよ!」 後ろから剣を振り上げて1人の盗賊が襲いかかるが、青年は見向きもせずに避けた。 「!?」 その行動に一刀を含め、全員が驚く。 「お、おい!何してる!?さっさとやっちまえ!」 今度は盗賊全員が襲いかかるが、青年は全て攻撃をかわした。 死角からきた攻撃も、弓矢による射撃も全て避けてみせたのだ。 「……スゲェ…」 一刀はそれしか言えなかった。
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