2/20
159人が本棚に入れています
本棚に追加
/166ページ
あたしは確かに 三条トンネルを 走り抜けた。 その後どこに行った わけでもない。 ただ、トンネルを 抜けただけ…。 ――なのに、 気づけば目の前は 木造建物の中。 血だらけの床にゴロゴロ 転がってる死体。 刀を持った男。 あれは何だったの…?? ………次、目が覚めたら あたしはどこにいるんだろう… そんな不安を感じながら ゆっくり目を開ける。 美佳とか隼人が あたしの顔を 覗き込んでて…… 『捺佳ってば大丈夫!?』 『お前、トンネルの中で 気絶してたんだぞ??』 『ほんとごめんね~っ まさかそこまで 怖かったなんて……』 香織は両手を合わせて 必死であたしに謝る。 『…………。』 ああ…… なんだ…… やっぱさっきのは 夢だったんだ…。 良かったぁ……。 『…何言ってるの。 夢じゃないよ』 ふいに慎太郎が言った。 『え……??』 あたしは目をぱちくりさせる。 『……夢じゃない』 キョトンとしている あたしに慎太郎は もう一度繰り返す。 『……ど、どうゆう…』 どうゆうことなの?? と聞こうとしたけど、 それは叶わなかった。 あたしの視界に ザザザっと砂嵐が走り、 慎太郎の姿は 見えなくなっていく。 『待って慎太郎!慎太郎ってば』 必死で呼ぶけど、 慎太郎はどんどん 砂嵐にかき消されていく。 慎太郎… なんでそんなこと言うの?? あたしは悪夢から 解放されたんじゃないの?? あたしは今どこにいるの?? どれが夢?? どれが現実?? 「もうわかんないよ!!」  
/166ページ

最初のコメントを投稿しよう!