池田屋×少女

２

｢へぇ…すごい名前ですね…｣

あたしは素直に感動した。

沖田総司といえば、
誰もが知ってる
幕末の美剣士。

そんな人と
同じ名前なんて…

｢すごい名前??｣

自称沖田総司は
小首をかしげる。

｢だって沖田総司って、あの新撰組の沖田総司と同姓同名じゃないですか!すごいですよ!｣

沖田総司って
イケメンだったって
聞くけど、
同じ名前なだけあって
この沖田総司も
なかなかイケメンだよね…

やっぱり名前に似合う顔に
成長するもんなんだなぁ…。

ひとりで納得している
あたしに、自称沖田総司は
怪訝な顔をする。

｢……なんかよく意味がわからないんだけど…僕以外にも沖田総司って奴がいるの??｣

｢へ??沖田総司知らないんですか!?有名ですよね??…あ、ほら池田屋事件で活躍した人ですよ｣

今回のテスト範囲だから
幕末のあたりは
ちょっと勉強したんだよね―

｢……それ、僕のことじゃないの??だいたいキミ、池田屋で戦ってる僕見たじゃない｣

なにこの人…
ちょっと顔がいいからって
あの伝説の沖田総司が
自分だなんて……

｢…いや、確かにあなたが戦ってるのは見ましたけど、あたしが言ってるのは池田屋事件ですよ。新撰組が御用改めした…｣

｢だから、それ僕たちだよ。つい一昨日のやつでしょ??｣

｢一昨日??何言ってるんですか!!池田屋事件は江戸時代の話ですよ??｣

｢………江戸時代???｣

顔をしかめる自称沖田総司。

……というか、
さっきからこの人と話が
噛み合わなすぎじゃない??

池田屋事件が一昨日だとか、
新撰組の沖田総司は自分とか、

……そういや、
さっきの怖い人も
ここは新撰組屯所とか
言ってたっけ…。

じゃあ、なんだ??
この目の前の沖田総司も
がちでなりきっちゃってる
感じですか???

もうこれは
コスプレの度を越えてるね…。

てか、なんであたしは
この人たちの
コスプレ新撰組ごっこに
巻き込まれてるの??

……なんかもう、
謎すぎて頭痛くなってきた…。