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「あ、あの…それ嘘じゃあないですよね……??」 嘘に決まってるじゃん。 ジョークだよ、ジョーク! なんて返事を期待して そんなことを尋ねてみると、 沖田総司は不機嫌そうに 眉間に皺を寄せる。 「…人が親切にあんな猫でもわかるような質問わざわざ答えてあげたのに、疑ってるわけ??」 「い、いえ!そんなめっそうもない……」 慌ててぶんぶんと 両手を振るあたし。 ……じゃあ、ほんとに ここは文久三年の世界 なのかな……?? あたしはタイムスリップ しちゃったの……?? 池田屋事件の真っ只中に……?? しかも、そのあと 怪しいやつと思われて 新撰組屯所まで 連れてこられたと……?? 「…………。」 …信じられないけど、 あの凄まじい池田屋の風景、 これでもかってくらい 噛み合わない会話、 服装とか建物とか…… 確かにどれをとっても、 現代にはあり得ないこと ばかりだ。 「…ほんとに、幕末に来ちゃったんだ……」ボソリ 「え??なんか言った??」 「いえ…なんでも」 ほんとは なんでもなくないよ。 だってちゃんとよく 考えてみようよ。 ここ江戸時代の幕末だよ?? どうやってここに 来たのかもわからないし、 家に帰れないんだよ!? その上、あたし新撰組に 長州のやつだと 思われてるんだよ!? 正直、いつ殺されても おかしくないよね!??  
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