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「誰か、誰か助けてよおっ!!」
そう言って目の前の少女は
ふわっと上体を
傾かせたと同時に
そのまま倒れ込んだ。
「!!ちょっ…」
さすがの僕も慌てて
彼女に駆け寄って
体を抱き起こす。
彼女の…捺佳の目には
涙が溜まっていた。
顔は火照っていて、
肩で息をしている。
熱??…ではなさそうだから
多分感情が高ぶって、
混乱状態になったんだな…。
とりあえず、
落ち着くまで
寝かせとくか…。
僕は捺佳を抱えて、
ひとまず自分の部屋に
連れていった。
そして、そっと
布団に寝かせて
掛け布団をかける。
「……っは…はあ…っ」
捺佳はまだ苦しそうに
荒い息を洩らしている。
"あたしにもわからない…"
"なんで自分がここに来たのか、
なんで自分がここにいるのか"
"わからない…わからないの!!"
「…………。」
――さっきの必死に
訴えかける
捺佳の姿を思い出す。
捺佳は本当に何者なんだろう…
最初に会ったのは、
池田屋だった。
あの日、新撰組は
尊攘派志士が集まって
会合をやるという
情報を掴み、
僕はその会合が開かれると
予想されたひとつ、
池田屋に来ていた。
僕を含めて、
20人いるかいないかの
人数だったにも関わらず、
僕らは近藤さんの合図で
池田屋に乗り込んだ。
僕は二階をひとりで
任された。
そこには、わんさか
長州の浪士どもがいたけど
どいつもこいつも
手応えない奴ばかり。
とにかく斬って、斬って、
斬りまくった…。
……気づけば、
さっきまで僕に
斬りかかってきた
浪士どもは皆、
床に転がっていた。
「…これで終わり??」
なんだ…
どんな強い奴が
いるのかと思ったら
雑魚ばっかじゃない。
僕は、刀についた
血をぴっと振り払うと、
転がる死体を避けながら
奥に足を進めた。
もしかしたら、
まだ隠れてる浪士が
いるかもしれないからね。
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