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「…あ!そうだっ」
あたしのぼやきに、美佳が
何かを閃いたように叫ぶ。
「ねぇ、肝試ししない!??」
美佳はきらきらした
笑顔で言った。
「………肝試しぃ??」
何を言い出すのかと思えば…。
美佳とは引き換えに
あたしはあからさまに
嫌な顔をした。
あたしははっきり言って
お化け屋敷とか
ほんとうにあった〇い話とか
マジで嫌いな人間。
肝試しなんて
以ての他!!!
それなのに、
「お、いいね!やろうぜ肝試し!」
……お祭りごとが
大好きな隼人は
ノリノリ。
「あ、じゃあ私驚かす役ね♪」
…香織はすでに
肝試しをやる前提で
話をしている。
「あ、大丈夫。お化け役いなくても十分怖い場所があるからっ」
香織はふふふっと
楽しそうに笑う。
「え、ちょっと待ってよ!肝試しやるつもりなの!?」
意外にも皆が
乗り気なのを見て、
焦るあたし。
肝試しなんて
絶っ対に嫌!!!
そんな気晴らし
望んでませんあたし!
…けど、あたしの問いかけに
三人は気持ちいいくらい
はっきり言い切った。
「「「もちろん!!」」」
「…………。」
もはや何も言えないあたし。
「じゃあ、着替えて飯食ったら香織ん家の前に集合な!!」
「「了解―♪」」
気がつけばいつの間か
そうゆう話になっていて、
隼人の呼び掛けに
元気よく返事する
美佳と香織。
ちゃっかり慎太郎も
コクリと頷いていた。
…ああ………。
もう、こうなったら
バックレようかな…
なんて考えていると、
「おい捺佳!お前逃げんなよ!?てか迎えにいくから!」
「…………。」
…隼人にしっかり釘をさされ、
あたしは項垂れながら
家に帰ったのだった。
なんで…
なんでこんなことに……。
「…はあぁ……」
あいつらのせいで
また幸せ逃げちゃったよ……
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