159人が本棚に入れています
本棚に追加
……そうこうしてるうちに、
あたしたちは
住宅街の外れの道を進み、
やがて三条トンネルの
近くまで来ていた。
…辺りは家のひとつもなく、
静かで街灯も点々としかない。
「暗いから足下気を付けてね―」
そう言う
先頭を歩く香織の姿すら
闇に紛れてよく見えない状態。
「これ、まさかひとりずつトンネル入るとかじゃないよね…??」
さっきまでノリノリだった
美佳でさえここに来て
おじげずいてるようだ。
「当たり前じゃん!ひとりはさすがにあたしだって無理だよ―。だからここは2・3に別れようよ!」
香織ならひとりでも
全然行けそうだけどな…
「じゃあ、グッパ―しようぜ」
隼人が拳を前に出す。
「それがいいね」
香織と美佳も
納得して手を出した。
それに続いて
あたしもおずおず
手を出す。
……あ、あと慎太郎も
ちゃんといるよ??
皆の手が出揃ったのを
確認して、
隼人が前置きの台詞を
口にする。
「グッとっパーで…」
…どうか3人組の方に
入りますように!!
「…別れましょ!!!」
「大丈夫だよ、行って帰ってくるだけだから!」
「高校生にもなってお化け怖さに泣かないようにな」
「いざとなったら慎太郎が何とかしてくれるよ、きっと!」
「…………。」
…そんな3人の
励ましの言葉すら
あたしの耳には入らない。
ああ……。
どうやら神様は
あたしの味方を
してくれる気は
ないらしい……。
ちらっと隣を見ると、
いつも通り
眠そうにしている慎太郎。
…よりによって
慎太郎とふたりなんて……。
いや、別に慎太郎が
嫌いとかそうゆう訳じゃ
ないんだけど……。
慎太郎って
霊感あるみたいで、
よく不思議なこと
言ってたりするから…
トンネルの中でも
"あ、首だ。"とか言われたら
たまったもんじゃない!!
慎太郎よ、
頼むから何も
言わないでくれ……。
最初のコメントを投稿しよう!