翌日

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  ***  一時間目で使い果たした精神力は、昼休みを経ても回復しなかった。おかげでどの授業も全く身が入らず、居眠りこそしてないが似たようなもんだった。 「ごめんね、なっちゃん。一緒に帰れなくて……」 「しょうがないよ、委員会なんだし」  こっちの世界でも同じ委員会らしい皆川とトータに別れを告げて、帰路へと着く。しかしまぁ、一昨日も招集されてたしどんだけ精力的な委員会なんだろうか。  ちなみに、二人がその委員会に入った理由は、オレだ。向こうの世界ではトータが皆川が立候補をしたとき、オレのために情報収集をしようと同じく立候補したそうだ。もしかしたらオレが立候補するかもと一瞬躊躇ったらしいけど、トータ曰く『まぁ、ナツキじゃ無理だろ』と思って挙手した、なんて後に言われた。否定出来ないのが悔しい。  んで、こっちの世界ではそれを逆に皆川がしたことになっている。昼食のときに今日は委員会があるって話から、それとなく知った。そのときに皆川が、『なっちゃんが自分から相澤くんと親しくなったから、必要無くなっちゃったね』なんて言うから、やりたくもない忙しい委員会に入らせてしまって申し訳ないと思う。  オレなんか、まだ一度も呼ばれたことないってのに。つかそもそも、何の委員会入ったんだっけ?こっちでも同じだと思うんだけど、明日皆川にさり気なく確認してみよう。  昇降口で靴を履き替え、外に出ようとしたところで誰かにぶつかった。 「いてっ」 「あ、ごめんなさい……」  男子の制服を着ていて、顔の半分を覆ってしまう程大きな丸眼鏡をした黒髪の子。平均的な女子の身長であるオレとさほど変わらないから、男にしては低い方だ。  あれ、何かオレ……コイツの顔に見覚えがあるような気がする。でも名前も何も思い出せないから、多分勘違いだろう。  別に急いでる訳じゃないけど、ここで突っ立ってても無意味だからさっさと行こうと思って男子生徒に背を向けると。 「ねぇ貴方、ちょっと……」  なんて、腕を掴まれたので慌てて振り向いた。 「……いえ、何でもない」  けどその子は直ぐにそう言って手を放し、校舎の中へと早足で消えてしまう。  何となく消化不良な気持ちを抱えたが、追い掛けてまで解消する程でもないので、モヤモヤしながらもそのまま帰ることにした。
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