翌日

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  ***  夕食と風呂を済ませ、自室で漫画を読んでいたらメッセージ受信の着信音が聞こえた。通知にトータの文字があったのでてっきり三人のグループの方かと思いきや、どうやら個人宛に送って来たようだ。 【今週の土日、どっちか空いてますか?】  何で敬語なんだよ……なんて思いながらもどっちも空いてる旨を送ると、速攻で既読になり返信も来る。 【そしたら、日曜ナツキちゃんの誕生日プレゼント探しに二人で出かけませんか?】  まず、溜息が零れた。最初から『二人で』と付けることで『じゃあ、春ちゃんも一緒に』を阻止されてしまった。そう、これはつまり、デートのお誘いだ。プレゼント要らないって、もっと強く拒否しておけば良かった。  トータと出掛けることが嫌な訳じゃない、親友なんだから。あっちの心積もりが違うから困るんだ。二人で遊ぶことが、別の意味になってしまう。  どうしたらいいんだろう。皆川に相談しようかと思ったけど、絶対『行った方が良いよ!!』って返されるから却下。自分で考えよう。  画面が開きっぱなしだったから、向こうからも既読状態になってるだろうし早く決めたい。けど結論が出ない。トータと遊びたい、でもデートにはしたくない。こうなったら、鈍感なフリして皆川も呼んじゃうか……。  頭を抱えていたら、突如鳴り響いた着信音。これ、メッセージの受信じゃなくて電話かよ!うわトータからだ、もう少し待ってろよな!!  無視しようかとも思ったけど、後が面倒になりそうだから出ることにする。 「も、もしもし……?」 《あ、な、ナツキちゃ……ご、ごめ……今、大丈夫だったかな?》 「う、うん」 《日曜日!その……出来るなら、ナツキちゃんが喜んでくれる物、渡したいし。駄目、かな……?》  そんな風に言われたら、断りづれーじゃねーかよ。顔が見えない分、余計声に集中してしまう。  オレの知らないトータ。弱々しくて、自信がこれっぽっちも無くて。らしくねぇ。オレと一緒に部活辞めたときだって、明るく振る舞っていたトータが。 「分かった。なら、行く場所とか全部トータ……くんが決めて。多分、好きな物とかは似てると思うから」 《えっ…………その、良いの!?》 「良いの?って、自分で誘っといて?」 《いや、違っ……場所とか、さ》 「最悪、気に入らなきゃその場で考えりゃ良いじゃん」  何年もトータと一緒に居たんだ、楽しみ方くらい分かってる。まぁ、別世界のだけどさ。でも根底は変わらないから、きっと大丈夫。  詳しいことが決まったら後日メッセージをくれると言うことで、すぐに通話が終了する。昨日とは打って変わって、晴れやかな気持ちでオレは眠りに就いた。
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