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ついにやって来た、日曜日。
皆川からも日曜遊べないか金曜に聞かれたけど、素直に教えてお節介焼かれても困るから、適当に家の用事だって誤魔化した。ああでも多分、バレてる。だって、すっげー顔に出てたもん、皆川。
分かってて同じ日に誘うなんて、結構意地が悪いんだなと、新たに好きな子の一面を知った。そうだよ、オレが好きなのは皆川なんだ。元の高瀬夏希に引っ張られてるせいなのか、何か忘れかけてたけど。
そしたら、トータとの約束より皆川を優先するべきだった?いやでも、先に約束したのはトータなんだから、それは駄目だよな。
と、少し重い気分を脳内をうるさくして紛らわそうとする。だってさ、オレも前日に確認しとけば良かったんだけど、私服がスカートしかねーの何故か!!
ズボンはあっても、寝間着用か中学時代のジャージ。嘘だろ?女子って皆こうなの?んな筈無いだろ、里夏だって私服でズボン穿いてるときあるし。
流石にそんなので出かけられる程ファッションに鈍感じゃないから、仕方なくスカートを手に取る。ああもう、なるべくデートっぽくならないよう、ラフな格好したかったのに。
時間も無いので、変な組み合わせにならないことだけを気を付けて他を選ぶ。オシャレはしないけど、最低限の身だしなみは整えて……っと。
「いってきます!」
リビングのお袋に声掛けをして、家を出る。憎らしいくらいに、雲一つ無い快晴。まぁ雨の中出かけるより良いんだけど、何となくさ。
向かう場所は、何故だかオレとトータが……こっちでは皆川とか、の学校に行くときの待ち合わせポイント。例の、オレの誕生日の日の放課後、皆川が周辺案内の際にそこも紹介し、妙にトータが興味を持ってしまったからだ。こっちの世界でのアイツの家はちっとも近所じゃないから遠いってのに、わざわざ来てくれることになってしまった。
でも、不思議だ。まぁある意味じゃ、当然なのかもしれない。
「あっ、ナツキちゃん!」
『よっ、ナツキおはよ!』
一瞬、学生服を着た、いつものトータが見えた気がした。
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