週末

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「だから、もうどこの部活にも入らないつもりなんだ。同じようなことが起きるとは限らないけど、念のために……ね」 「そうなんだ。俺も……当事者ではなかったけど、中学のとき部内で似たようなことあったからちょっと悩んでる。蚊帳の外だった俺が言うのも、ナツキちゃんに失礼かなと思うけど」 「そんなことないよ。人間関係の面倒くささってどこにでもあるんだし。まぁ高校生はバイト出来るようになるから、そっちに力入れるのもアリかなって」 「確かに、そうだね」  トータが笑う。それはまだ少し弱々しいけれど、重苦しい空気は大分抜けたと思う。だからオレも抉り出した傷がちょっと疼くけど、今出来る精一杯で笑顔を見せた。 「あのさ、ナツキちゃん……この流れで言うのも何だけど、まぁ、うん、関連してるっちゃしてるし……聞いて欲しいんだけどさ」 「うん?」 「俺、一方的にだけど……中二のときに、ナツキちゃんに会ったことあるんだ」 「……え?」 「多分、時期的にその、ナツキちゃんが唯一出場したって言う試合、観たことある」  何故?真っ先に浮かんだ単語がこれだ。確か、男バスと女バスは日程が違うからわざわざ観に行かない限り、女バスに所属してただろう高瀬夏希の試合は観られない筈なのに。 「な、何で?」 「えっと……当時、ナツキちゃんと同じ学校に、付き合ってる子が居て。その子もバスケ部だったから、試合観に来て欲しいって、言われて」 「…………ああー!!」  思い出した!確かに、トータには中二のとき付き合ってた女バスの子が居た。でも向こうの圧が強くて仕方なくって感じだったからか、いつの間にか別れてたっけ。そっか、アイツとこっちだとクラブメイトだったってことなのか。 「もしかして、知ってた?」 「そうそう、だってアイツお前と付き合ってることめちゃくちゃ周りに言いふらして自慢してたもん。それがある日急にだんまりになって、フラレた時期と一致してるからもう分かりやすいな、って……」  ついうっかり喋り過ぎた気がするけど、元カノの性格を知り尽くしてるからかトータもうんうん頷いてて、気付いてないようだ。
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