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「だから、会ったことあるって言うより見たことある程度なんだけど……それでも、凄く印象に残ってたんだ。ああ、うん……もしかして、ナツキちゃんに嫌がらせしてた一人って、アイツ?」
「た……た、ぶん?」
オレが知ってるのは、ターゲット別の奴だったけど。裏でそう言うことしてるの発覚して、そんでトータも別れ切り出したって言ってたから。
「そしたらきっと、原因は俺だと思う。アイツにナツキちゃんの名前聞き出したりしたことで、物凄くナツキちゃんを敵視してたから。俺も、悪いけど彼女と好きで付き合ってた訳じゃなくて……仮にも自分の彼女に対して、他の女子に興味ある素振り見せちゃいけなかったんだって、今更気が付いた。ごめん!」
「いやいや、それ別にお前悪くないし!あの子なら、そう言う私怨で嫌がらせしそうだって分かるから!うん、ぶっちゃけアイツ性格悪かった!常識ある子だったら、嫉妬だとしてもそこまでしねーもん!!」
今度はオレが、うんうんと頷いた。恐らくこっちの高瀬夏希も、アイツには元々良い感情を抱いてなかっただろう。何せあの皆川が昔からの友達なんだ、あんな腹黒女とは絶対馬が合わない。
「でも、そっか。だからオレがバスケやってたの知ってたのか。うん、すっきりした」
「何かもう、色々とごめん……」
「気にすんなって!アイツとは高校違うし、寧ろアレで縁が切れたんだとしたら逆に良かったかもだし!」
そうだな。オレが退部したことで先輩も満足出来たのか、あれからは平穏な学校生活が送れたし。辞めてからは毎日トータと遊びまくって、楽しかった。
これはこれで、良かったんだ。漸く、そう思えるようになった。
「ありがとう」
「えっ!?」
「話聞いてくれて。月日が経って、改めて吐き出したことでこう……何か、吹っ切れた気がする!」
相手が、トータだったから余計に。心の中だけで、付け足した。
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