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「っ……!その、やっぱり、好きです!!」
「……へ?」
「初めて見たときから、目が離せなくて。ずっと気になってて。高校入ってやっと話す機会が出来たのに、緊張して上手く喋れなくて。それでも、友達になってくれた!ナツキちゃんを傷付ける要因の一つになった俺に、ありがとうなんて言ってくれた……そんな、優しいナツキちゃんが、好きです」
「トータ……」
「もうちょっと親しくなって、お互いを知り合ってからにしようと思っていたけど……どうしても、伝えたくなったんだ。だから、今は友達のままで良い。でも彼氏候補として、考えてみて欲しい。返事は急ぎません!!」
…………い、言われてしまったー!!!
ええ、はい、言われずとも分かっていましたよ。けどもしかしたら勘違いかもって、ちょっとくらいは思ってたのにっ!
言うだけ言って、耳まで真っ赤になったトータがそっぽを向いた。その肩口を見つめながら、返答に困るオレ。
いくらコイツが親友で、好きな子が居ると言っても、そりゃあ面と向かって告白されたらオレだって照れますよ。少し冷たい風に吹かれても、冷めない熱が生まれますよ。だって初めてだもんコクられたのなんか!!
「い、急ぎません……ので」
再度念押しされたよ、よりによってそこかよ。普通『好き』って部分を強調するんじゃねーの?いや、分からないけど。
「け、検討します……」
トータのどもりが移ってしまった。モニョモニョと、小さな声で会話するオレ達。そう返しながらも、オレの気持ちが変わることなんかないけどな。
トータは、失いたくない親友。好きな子は、皆川。性別が変化したって、心は同じだ。
予想外の展開に動揺したが、もう落ち着いた。見つめていたトータの肩を叩き、こちらを向かせる。
「話も済んだし、他の所に行こう」
「う、うん!」
ベンチから立ち上がり、未だ赤みの引かないトータに背を見せ先を行く。オレはトータの親友で、誰よりもお前のことを理解してるんだ。
二人で笑って楽しく過ごせる場所だって分かるんだから、黙ってついて来いよな。
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