一週間後

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  ***  昨日は皆川を先に帰したので一人だった帰り道を、今日は遠藤と歩いている。と言っても、本来は電車に乗って通うような距離らしく、わざわざオレと話すためだけに遠回りをしてくれているみたいだ。 「つまり、貴方は元々と変わらない位置に家があるってことよね。相澤くんも別の中学になってることと言い、貴方を中心に周囲の環境が変化している世界のようね、ここは」 「あの……?」  心中のツッコミが追い付かない。何か遠藤の喋り方が女みたいだし、トータが別の中学だとか、オレを中心に変化してる世界だとか……。 「やっぱり、貴方は気付いてなかったみたいね。まぁ私と貴方殆ど接点無いし、相澤くんと違って高瀬くんは、そもそも人付き合い盛んじゃないものね」 「高瀬、くん?」  違和感。ここに来て、初めての呼ばれ方だ。オレはこの世界では元々女だから、皆が皆オレにさん付けで……? 「えっ!?もしかして遠藤って……オレが男だった世界から来てるのか!?」 「そうよ。貴方と同じ……元々の世界では、女子として生活していたの」  全然気付かなかった。  この言われ方からして、多分高校で初めて顔を合わせた訳でもなさそうだ。ごめんなさい、全く記憶にございません。 「向こうでは一応小学校も同じだけど、クラスメイトにはならなかったわ。中学のときは、今みたく同じクラスになったこと、一度だけあるわよ?」 「マジで!?」 「さっきも言ったように、クラスが同じと言えど話すこともなかったから、仕方ないわね。こんな不可思議な状況にでもならなければ、今も会話しようとは思わなかったもの」 「あ、そう……」  よく分かんねーけど、もしかして遠藤ってオレのこと、嫌いなの?オレ無意識に何かした?いやでも、話したことないって言ってたし………けど同じクラスだったこともあるんだし、やっぱり何かした……?  と、自問自答してることがバレたのかもしれない。遠藤お得意の、大袈裟な溜息で更にオレの心を抉って来る。 「あのね私、相澤くんのことが好きなの。だから元の世界では親友、今の世界では彼に恋愛対象として好かれている貴方が、とても羨ましいの。決して貴方のせいではないと理解していても……それが態度に出てしまっているのよ」 「へぇ、何だそう言うことかぁ。遠藤がトータを…………って、ええ!?」
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