4人が本棚に入れています
本棚に追加
…そう、また感傷に浸っているところに、ヤツはやってくる。
「爽歌、お前部活なんにした?」
戸部君が思い出したように言う。
「多分写真部」
「そっか…」
何故か彼が寂しげな顔をするので、
「なんで?」
と聞いてみる。
「…いや、どうせ何もやる気なさそうだし」
何もやる気なさそう、とは失礼な。
「一緒に軽音に入らないかな、って」
「軽音?」
「この前さ、ギターやってみたいって言ってたから」
ああ、なるほど。
戸部君が続ける。
「俺、ドラムやってんだわ。だから、一緒にやるヤツ探してて。爽歌、ギター似合うんじゃないかな」
うっ…
そんな仔犬のような目で見るなぁぁぁ…。
あ、そうだ。
「それってさあ、文化祭の時とかにライヴとかするんでしょ」
「うん」
「軽音には入らないけど、練習するし、文化祭の時呼んでよ。あれってエントリー制だし」
その方が、なんか楽しそう。
「…分かった。爽歌がそうしたいなら、そうしよう。ま、俺は趣味でやってるだけだし、軽音入ったら気楽にできなくなったりするかもしんねぇし」
「いや、別に戸部君が勝手に入ろうが関係ないけど?私は入らないって言っただけだし」
「……ホントは……」
「ん?なんか言った、戸部君?」
「…いや、何でもない。あ、そう言えば写真部に入るって言ったっけ」
なんだなんだ急に?
「俺も入るわ」
「え?戸部君写真とか撮る人だった?」
なんか、いかにも興味なさそうなのにww
笑い転げる私を見ながら、
「…今、撮りたくなった」
戸部君が何か言った。
最初のコメントを投稿しよう!