中学1年 ‐April‐

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トイレの鏡とにらめっこしながら、少々崩れたお下げを結い直す。 いったい、なんなんだ。 人のこと笑いやがって。 ただ、驚き過ぎただけじゃん。 私は驚いたんだ。 目の前に男子の顔があったことに。 男子と話したことなんて、今まで生きてきた中で何回もなかった。きっと片手の手のひらで足りるくらい。 目の前にあった、さっきの男子を思い出す。 切れ長な瞳だった…気がする。 落ち着きのある、低すぎない声…だった気がする。 私、どんだけ記憶があやふや(笑)? めっちゃイケメン、という訳でもなく。 不細工という訳でもなく。 いたって、普通の窓際で本を読んでるような、地味男子かな? あ、人のこと言えないや。自分も地味女子じゃないか。 だけど、少し感謝している。 今の一件で、緊張で強ばっていた私の心は、 少し温かい感情で包まれたから。 ところで誰だったんだろう??
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