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「左之、…そいつはなんだ?」
部屋に入ってまず一番に声を掛けたのは黒い髪を高く結い上げた俳優さんみたいな人だった
その整った容姿に似合わず眉間に皺を寄せて機嫌が悪そうだ
「ああ、こいつは訊きたいことがあるっつーから連れてきたんだ。」
その人は不機嫌そうな男の様子を気にすることなくサラリと答える
「えっと……」
そんな大層なことじゃないのに、と思いながら小さく頷いた
「で、訊きたいことってなんだ?」
ムスッとした顔をそのままに話を聞いてくれるようで少し安堵した
「土方さん機嫌悪いなー。もーちょっと愛想よくできない?」
「黙ってろ平助」
ずっと端の方で座っていた癖毛が少し混じっている長い髪の青年が
痺れを切らしたように問いかけた
土方さんと呼ばれた人はそれを鬱陶しげに流し、視線を私に向ける
早く話せと眼で促され、話し出した
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