別れと出会い

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もしも今は亡き祖母の工藤静江が、美奈からの報告を聞いたら間違いなく顔を真っ赤にして怒るに違いない。 静江は異常な程に外人が嫌いな女性であった。 静江の夫は中国人だった経緯があり、自らが経験をした上で外人との経験は良い印象を持ってはいない。 そんな価値観の違いに随分苦しんだ過去を哲弥は生前の静江から聞いたことがあった。 考えてみれば、工藤哲弥と工藤美奈は中国人の血が流れたクォーターということにもなる。 分類分けをすれば、自分達も外人のようなものだ。 そして最近は国際恋愛や国際結婚なんて当たり前の時代になっている。 天国にいる工藤静江は、きっと美奈の想いを何とか許してくれるだろうと勝手に思うことにした。
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