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それがまかり通ると思っている図々しさに、心底腹が立つ。
沸々と湧き上がる怒りを抑える事が出来ない。
ホントに残念クオリティ。
ルックスだけじゃなくて頭の中身も……。
大きな身体をした子供には少しばかり注意が必要だと思う。
心に土足で上がり込む不快指数を追い出すように、デカいのに向けて言葉が飛び出した。
「ちょっと! そこのブタ!」
「お、おい、琴音」
反応したのは声を掛けた相手ではなく、私の後ろで退屈そうに欠伸をしていた男、神藤響也(しんどうきょうや)。
こいつは私の名字である響(ひびき)の名を冠した響銘流(きょうめいりゅう)の同門で幼なじみ。
「やめとけって。マジで面倒だからほっとけよ」
お父さんが当代を務める道場で一緒に道を学ぶ適当男が、言い聞かせるように私を嗜めた。
響也は意外と冷めているというか、事なかれ主義な所がある奴だと思う。
だから、
そんな言葉は聞こえなかったフリをして私はもう一度言った。
「あんたよ、ア・ン・タ! デッカい図体して後から列に割り込むなんて余りにも調子良すぎなんじゃない?」
今度はハッキリと聞こえたらしく、ブタは声に反応して振り返った。
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