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遠目に見える身長は百八十半ばってところ。体重は百キロをゆうに超えているだろう。
肉が詰まって、はちきれそうな緑のティシャツは汗にまみれて胸元までびしょびしょ。顔は眉間にシワがよって頬の肉がたるんでいる。
十秒見たらもうブタ肉が食べられなくなりそうなほどに酷い。
見るに耐えないというのはこの事をいうのね……。
顔が性格を表すというのは本当かもしれないと思った。
果てなく湧き上がる不快な気分に拍車をかけるようにソイツが私に向かって怒鳴り声を出す。
「ああっ! んだぉとっ、このクソガキ! 文句でもあんのかぁ!? あああぁっ!」
これはいつの時代も一緒。弱い犬ほどよく吠える。
「バカじゃないの? 文句あるから発言してるに決まってるじゃない?」
「なんだとぉ!?」
「顔だけじゃなくて耳までオカシイの? さっきアンタをブタだと思ったんだけどそれは謝るわ。もちろん、ブタさんにね」
デブの表情が更に酷く歪む。構わずに私は言葉を続けた。
「本当にブタさん。こんなデブと一緒くたにしてすいません」
「こ、このクソアマ!」
私の挑発に、身体を揺すってズカズカと歩いて来るデブ野郎。
その行動に私の周りで小さなざわめきが生まれ、成り行きを見ていた人達が列から外れ距離を取るのが分かった。
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