1話 冷たい瞳の少年

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 ──5月1日。 GWで高校は休み。 大抵の人達は友達と遊びに出掛けたり、家でゴロゴロしてたりするだろう。 そんな中、GWに入ってから1日も欠かさず高校に登校している女子学生がいた。 彼女は図書室に夕方まで居て、ずっと読書に耽っている。 セミロングの黒髪に丸渕眼鏡のいかにも知的な感じ全開の彼女の名前は『蒼空芽.葵』(そらが.あおい)。 歳は16。 高校に入ったばかりであるが、葵はクラスメイトと話をしたりすることがないのでいつも1人で居る。 どうも内気な性格のようで他人とのコミュニケーションが人一倍苦手のようだ。 そんな彼女の友達といえば『本』。 小中を通してずっと1人で居たのでその内気な性格にますます磨きがかかり1人で読書に耽ることが当たり前になっていた。 図書室に吹き込む風がカーテンと一緒に彼女の髪を靡かせる。  ペラっ………。  図書室には彼女が本のページを捲る音だけが響いていた。
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