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「ねー、何探してるの?」
町の外れにある小川、そこに高さ1m程の岩に腰掛ける少年と、川に入り何かを探している眼鏡をかけた少年がいる。
中性的な顔をした黒髪の少年が岩の上から楽しそうに聞く。
「さっきから何度も聞かないで下さい」
眼鏡をかけた少年が、岩に腰掛ける少年…亜夢に呆れたように言うと、また何かを探し始める。
「だーかーらーっ!何探してるの!?」
「別に貴方は知らなくて良いじゃないですか」
「良くないっ!!」
亜夢は岩の上に立って、眼鏡をかけた少年は何かを探しながら言い合いをする。
「良いんです………ょ」
眼鏡をかけた少年は話を終わらせようと
話そうとすると、突然言葉が止まる。
不思議に思った亜夢は
「光哉?どうしたの?」
と、顔を覗き込みながら聞く。
どうやら眼鏡をかけた少年は光哉と言うらしい。
「…で…」
「ぃ……す」
「…ら…ぃ……ょ」
光哉は亜夢の問いかけに、何も反応せず、川の下流の方を見て何かを一人で話している。
光哉の声は所々だけ聞こえ、後半の会話は殆ど聞こえない。
「光哉?ねぇ…光哉?」
何度も何度も必死に話しかけるが、
光哉は全く反応しない。
「何か言ってよ!!」
亜夢は岩から降り、光哉の胸ぐらを掴み、揺らす。
光哉よりも20㎝近く低い身長の亜夢は、
光哉を見上げる。
「………………」
それでも光哉は反応しない。
亜夢が光哉を呼ぼうと、口を開けた瞬間―
「へ…!?」
亜夢の頭をポン…と押す。
不意にだったので、亜夢の体が傾く。
体が傾くにつれて、意識が遠退いて行く。
気を失う直前に光哉の顔が見えた。
苦しそうに
笑っていた
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