七日間の稽古

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「それよりさ、あんたの名前が知りたいんだけど?」 今日の朝、歳三に聞くの忘れたんだよな……というより、朝起きれなくて聞く時間がなかった。 「俺は藤堂平助。北辰一刀流だ。ここでは副長助勤をしていて魁(サキガケ)先生と言われてる。だから、あんたはもっと言葉に気をつけて話せ!」 俺は名前しか聞いてないのに、ご丁寧に色々と自己紹介をした平助。分析するに平助は、負けず嫌いだな。 確か、なんとかつぅ人の御落胤。 ――つまり、父親は高貴な人で、認知されない子供の事。……だったよな? 負けず嫌いと思った、もう一つの理由が……。平助が魁先生と言われてる事だ。 ――御用改めの時など刀を抜く時は、必ず先陣を切ったと言われてる。 小せぇから強くみせてぇのか……。 平助を見ながら、フムフムと一人納得していた。 「あんたさぁ……。まずは礼儀だよ? 新八さんから筋が良いって聞いてるけどさ、礼儀がなってないとダメだからな!」 目線が平助より上にある俺が、ジロジロ見ているのが気に入らないのか、背伸びをしながら睨みつけてくる。その姿はまるで子犬が威嚇しているようで、思わず微笑みが漏れる。
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