叶わぬ恋ほど恋をする

2/7
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
「やめろ」と、ずっと俺の中でもう一人の俺が叫ぶ。この感情をどうしたらいいのか、未だに答えが出ずにいる。 今は、世界会議の真っ最中。いつも通りルートが仕切り、アルフレッドがハチャメチャなヒーロー宣言をして、それをアーサーが真っ向から反対する。その他、飽きて寝るやつやら、お菓子を食べるやつやら、中には内職をしてるやつもいる。まったく・・・と内心ため息をつく。そんなこんなで毎回のごとく騒がしい会議は始まってからすでに2時間経過もしていた。そして・・・ 「まったくアルフレッドはなんでこう毎回現実味のない案しか出さないんだ・・・。」 「君に言われたくはないんだぞ☆」 「なんだと!」 こいつらのやり取りももう2時間も経過している。毎回思うんだが・・・どうしてこうも売り言葉に買い言葉なんだろうかこいつらは・・・。でも、それもわざとなんだと思う。お互いがお互いに構ってほしいから、わざと相手の反感を買うような言葉を投げかけて少しでも自分を相手の目に映してほしいのだろう。まったくそんな気の引き方をするのは小学校低学年くらいがせいぜいだろう・・・。お子様なやつらだなぁ思っているが同時に羨ましくもある。あぁやって素直に自分の好きなやつにアプローチができるのだから。なんやかんやであいつも喧嘩しながら表情はどこか嬉しそうだ。長年の腐れ縁の俺がわかるくらいのほんの少しの表情の変化。それを気付けているのは俺だけなんだと思うととても心が温かくなる。だが、その表情を変えたのが俺でないのが気に食わない・・・。そんなことを考えているとずっと黙りこくっていたらしく、不安げにアーサーが顔色を窺ってきた。 「大丈夫か?お前が黙ってるなんて珍しいな、ナンパしたら振られたのか?」 俯いていた俺にわざわざ下から覗き込むようにして聞いてきた。その計算されていない仕草が俺の中で何かが溜まっていく気がした。それを悟られないようにいつもの言葉を返す。 「お兄さんは何ともないよ。ただお前らの喧嘩が毎回お子様だなぁって思ってただけ。だからお兄さんはアーサーとアルフレッドの意見に反対ってことで☆」 「「どっちだよ!!」」 その言葉の後、両側からそれぞれの言い分を聞き流しながら頭部への衝撃を受け流す。あぁ、まったくこいつらは・・・と思いながらやっていることはこいつらと何ら変わっていないことに心の中で嘲笑っていた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!