百年の鎖

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心を見透かすように澄んだ瞳。人間とは違い綺麗に整った顔立ちは、思わず見惚れてしまう程だ。 ウィリアムは少女の長い髪を少し掬い上げると、それを自身の唇に当てた。 一瞬我を忘れてウィリアムを見つめていたが、自分の髪に口付けをされたと自覚した途端、少女の顔に熱が集まり始める。 それを見て、ウィリアムは盛大に吹き出した。 「……ぶっ! あはははっ! すーぐ、赤くなってやがる。相変わらず、こういう免疫はねぇんだな」 「う、うっさいわね!」 ウィリアムの手に掬われたままの一房の髪をウィリアムから奪い取ると、少女は懐に入れていた1枚の封書を取り出した。 そして、それをウィリアムの胸元に力を込めて押し付ける。 「っ、いってぇな……」 「将軍閣下が明日、アンタと面会なさるそうよ。場所はこの塔の最上階」 「明日かよ。えらい急だな」 胸元に押し付けられた封書を受け取り、くるりと背面を見た。そこには明日会うべき将軍の名前が記されている。 「ウェスト・D・ヒーリング。……ああ、あの嫌味なハゲ野郎か。俺、アイツ大嫌いなんだよな」
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