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ウィリアムの呟きに少女は呆れた表情を向ける。帝国の上位に座する将軍に何ていう事を言うのだろう。
現在、将軍職にいる者達は英雄扱いされる程に尊い存在だ。一般市民でも畏れ多い存在だというのに、ウィリアムは幽閉され国の意向によって生かされている身だ。不興を買えば処刑される可能性が非常に高い。
それなのに、命の危険など関係ないとばかりに暴言をさらりと吐く。一体、どういう神経をしているのか。
「……アンタ、間違ってもそれを将軍に言うんじゃないわよ」
「ハッ、言わねぇよ。無駄な争いはしない主義なんでね」
「へぇ。その割に、あたしには結構喧嘩売ってくれるじゃない。どういう事なの?」
少女の言葉にウィリアムは目をしばたたかせ、考えるような仕草を見せる。
もしかして、ちゃんとした理由があるのかと少女はウィリアムの出方を窺うが、その期待は見事に打ち砕かれた。
「理由は至極簡単。お前の反応が小動物のようで面白いから」
そう言って、ウィリアムは床を蹴りその場から高く跳躍した。手枷等で封じられているとはいえ、塔を自由に行き来出来るくらいの能力は体内に宿している。
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