百年の鎖

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少女から漏れ出る殺気に気付いたウィリアムは、少女の傍から一刻も早く離れる必要があった。自分で蒔いた種とはいえ、痛いのは御免蒙りたい。 少女の立つ場所より数段高い梁に着地すると、少女に向けて軽く手を振った。 ウィリアムの行動全てが、今の少女にとって癇に障る。眉をひくつかせ、少女は自分を見下ろすウィリアムを睨み付けた。 「言い逃げと良い度胸してるじゃない……。今日という今日は許さないわ! そこに直りなさい!!」 少女が人差し指で差したのは先程まで、自分がいた場所だ。腕を上下に動かしている事から、降りてこいと強く訴えているつもりらしい。 それを一瞥し、ウィリアムは 「ヤダ。降りんのが面倒臭ぇ」 大きく欠伸を吐いた。 「っ、あぁぁ! 腹立つ! いつもいつも、そうやってあたしをからかって! アンタ、少しは自分の立場ってモンを考えて行動したら!?」 内に秘めていた苛立ちが頂点に達してしまったようで、少女は足を強く踏み鳴らし声を張り上げた。 塔の内部は音が良く通り、遠くまで響き渡る。しかも、人もほぼ居ないこの状況下。ウィリアムの耳には嫌という程に少女の声が聞こえていた。
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