Chapter=one [亜しき存在]

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暗い、冷たい部屋に僕はいた。視界は闇で完全に塞がれていた。この閉塞感は堪らなく恐怖を感じ、僕は泣いた。 すると何処からか大人の声が聞こえた。 「目覚めたな、運命の子よ…。私が君を保護しなければ今頃は実験サンプルだったろう。しかしそんなことはさせない。何せ、白崎さんの子だからな」 大人は低く渋い声だった。徐々に視界が開いてきたのが、光を感じて分かった。すると目の前に白衣を着て四角い眼鏡をかけた男の人が立っていた。 「視力が回復したか……ふ、奇妙な程早いな。やはり君は特異個体だ。二種族間の子供なんてありえない」 男は僕を抱き上げた。
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