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「君を救い出す時に使った発光玉による視覚障害もすぐに治った。回復力もやはり桁違いだな」
千島はようやくフサフサしてきた髪を撫でた。すると目に涙を浮かべて僕を抱き締めた。
「本当に……可哀想にな」
僕にはまだその涙が理解しきれなかったが、僕まで泣きそうになった。しかしギリギリの所で千島は僕から離れ、思い出したようにタブレット端末を操作しだした。
「最悪だな、今思い出したよ。白崎さんから君の名前を預かっていたんだ。君の名前は……………………………白崎黒也だ」
白崎黒也。僕は白崎黒也。その喜びは生涯残るものだった。歓喜のあまり、僕は千島に抱きついた。千島も僕を強く抱き締めてくれた。しかしその喜びは長く続かなかった。
千島のタブレット端末が警告音のような音を発して震動し出した。千島はその瞬間にタブレット端末を手にとった。そして画面を見るやすぐに顔は青ざめた。
「な…嘘だろ? まさかもう監理局が向かってる?」
千島は端末を捨て、僕を再度抱き抱えた。
「逃げるぞ、黒也!」
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