馬鹿、闘う

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翌日、少年はいつものように部室に現れた。 楽しそうに画材を広げようとして、ふと異様な雰囲気に眉をひそめる。 『先輩方、何かあったんですか?』 あらかじめ決められていた一人が震える声で、今日はデッサン大会をしようという話になった、と言う。少年は不思議そうに首を傾げる。 『またずいぶん急ですね、昨日、僕がいない間に決めたのですか?』 想定内の返事に、違う一人が答える。 君の入部以前からやりたいと思っていたのだ、と。 少年は仲間はずれにされたのが納得いかなかったのか少しいじけて、しかし張りきった声で言った。 『教えてくれればよかったのに。でも、楽しそうだ』 そして当時の部長が、ごくりと生唾を飲み込んで言った。 デッサンには、人間のモデルが必要だ、と。 『本格的ですねえ。誰に頼むんです?』 少年はきょろきょろと周囲を見回した。 その無邪気で無防備な様子に、五人は罪悪感を覚える。 しかし、負のエネルギーはすでに決壊限界まで充ちていた。 申し訳ないが、君に頼みたい、と部長は言った。もはやその声に迷いはなかった。
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