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私はよろめきながら振り返り、出来得る限りの凛々しい顔をつくってこう言い放った。
「代役を見つけるのだ!」
□
早速我々は代役モデルのスカウトのため、部員全員で取りかかった。
しかし、それは我々にとって苦難の時間となった。
後に、『ゴルゴダの一時間』と銘打たれ、恐るべき闘いの部史として語り継がれることになる。
後輩いじめを唯一の人生の愉しみとする陰湿なOB達が部室の扉を開けるまで、残り一時間と四十五分。
我が愛しの読者諸君に予め説明しておくが、我が藤島高校美術部は全校の女子から忌み嫌われる存在であり、(部員は着用を義務付けられている)美術部特製バッヂを目にした女子は絹を裂いたような悲鳴をあげながら逃げまどう。
我々は阿鼻叫喚のなか、廊下を闊歩するわけだ。
何故、我々は女子にそんなにも嫌われ、汚物のように扱われるのか?
それは美術部創立の歴史と呪われしデッサン大会が深く絡みあい、今に至る…としか言いようがないのである。
たかだか三年やそこらの在籍で藤島美術部の負の歴史の全貌を目にしようなどという驕り高ぶったことは思ってもいないが、私は身を持って感じた。痛感した。藤島美術部は、藤島の女子諸君からそれだけの仕打ちを受けるだけのことをしてきたのだ。
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