四章 ―キシなんて嫌だ―

5/8
202人が本棚に入れています
本棚に追加
/97ページ
屯所を出た俺は京野良猫協会の本部がある壬生寺へと向かった そこには見覚えのある顔が何匹か揃っていた 『よう!灰色! 久しぶりやんか! 今までどこおったんや?』 話しかけてきたのは野良猫協会・幹部で俺の幼なじみの三毛猫 通称 三色 だ 野良猫の俺たちは見てくれをそのまま呼び名として呼び合うことが多い 灰色の毛をしている俺は 灰色と呼ばれている だから正直うれしかったんだ 新選組の奴らに見てくれ以外で名前をつけてもらったこと 『あぁ ちょっとな』 三色は昔 人間に捨てられた経験から異常なくらい人間が嫌いだ そんな奴に 新選組にいた なんて言ったら怒り出すだろう そう思った俺は曖昧に返事を返した 『ふーん… まぁええけど… …それよりなんやそれ』 低く唸るように三色は俺の首を指す そう 俺の首には沖田がつけた首輪がついている 『いや… これは…』 言い返すことができず 俺は目を泳がす
/97ページ

最初のコメントを投稿しよう!