A spring day in 1941

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沈黙が立ちこめていた。 総統が最後に言葉を発してから15分以上たったのではないだろうか。 彼は博士の渡した書類を、一枚ずつめくりながら読んでいる。 その顔は、演説をしている時の様な難しい表情をしている。 博士は、それを立ったまま静かに待っていた。まるでその部屋の静けさと同化するように。 その顔は、何かを楽しんでいるように笑っている。 書類を全て読みきったのか、それを机に置き、顔を上げた。 「リープクネヒト博士。」 「なんでしょう。」 総統の口元が微かに綻ぶ。 「なかなか興味深い計画ではないか。」 「ありがとうございます」
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