未だ咲かず、いつか咲く

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 まあなんだかんだ言っといてあれだが、俺からしたらそれだけ自分のことを好いてくれる存在がいるということが、いわば自己の存在価値を示す証明であり、そこから付き合うのか断るのかはどうでもいいくらいに心の中でドンチャン騒ぎしまくるに違いない。  第一にだ、丁度明日から春休みで高校二年生になりかけであるところの俺ではあるが、そこまで女の子の顔やらなにやらを重要視してはいない。  毎日のごとく学年の可愛い子の話をしたり、クラスに美少女がいればその子の話を、いなければクラスに対する不平不満を、自分に彼女がいたとしてもおかまいなく議論するのは俺のすることじゃない。  そういうのはある程度のイケメンか野球部あたりのすることだ。  生まれた時からステータスに突出部分のある奴らや、坊主にするだけで大して強くなかったとしてもなんかスポーツマン的な印象を与える奴らのすることだ。  俺にはそんな資格すらないのだろう。  毎日のようにグダグダと学校生活を送っていると、嫌でも考えちまうのさ。  素晴らしいよな、今やメールで告白しても付き合える時代だ。世界は進歩しているよ。  直に告白できない男子はダメだと誰かが言っていた気がする。まったくもって同感だ。その度胸だけなら俺は勝てる気がする。顔とかじゃ無理だけど。  それになんか知んないが同級生達の女子に対する最低基準はおかしい。付き合ってみたいなと思うにあたり、俺自身はある程度可愛いだろうと思う女子も、周りの奴らはバッサリと候補から切り捨てる。  まず顔から入る、これはまあ青春真っ只中だからしょうがないよね。  でもあれだ。あまりにも『可愛い』の線引きがおかしいままに女子の顔やらなにやらを評価するなんて、恐れ多くてできやしない。  また話は変わるが、俺は友達は多いほうだと思う。男女問わず、長話無駄話ができる人間は結構な数いるはずだ。  高校に上がるにあたって、幼少の頃に暮らしてから一度去った父親の地元であるここに舞い戻った俺は、人間関係には特に気を使った。なにせ中学時代からの友人とかが一人もいないわけだからね。
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