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――そうだッ!
一つ手が浮かんだ。一か八か。テオにとっては賭けである。しかし浮かんだ瞬間、考える間もなく放った。
「クソッ! 喰らえよ! 《ラハト・ケレブ》!」
正面のゴブリンに手の平を翳し、叫ぶ。
瞬間光が墜ち、天を砕くような轟音を放つ。
まばゆいばかりの閃光が森を照らし、ゴブリンは吹き上がる炎に包まれた。
天空より遣わされた炎の剣はゴブリンに一言の叫び声をあげさせずに灰の骸へと変えた。
「こ、こいつ魔法使ったダ!」
残るゴブリン達は慌てて飛びのき、警戒をあらわにする。
「なんて威力ダ!やっぱりエルフだったダ!」
「あ゙ぁぁぁぁ! ガハッ」
魔法を放った直後、テオは喉を引っかくように苦しみ悶え、地に這いつくばる。咳込む口からは鮮血が溢れ出す。
「ド、ド、どうしたダ?」
テオの急変に戸惑い、茫然となるゴブリン達。
「ハァ、ハァ、ハァ……」
呼吸は荒く、目の焦点はぶれている。口元からは血が滴り落ちる。顔を上げるとニヤリと笑い、ゆっくりと手の平を次のゴブリン目掛けて翳す。
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