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「花粉で? でもエレメントの調和を治してくれたんだよね? だからありがとう!」
「……あぁ。酷なことを言うようだが、テオ。お前はエルフでもなければ、人間でもない。ハーフエルフだ」
「……。うん」
テオはゆっくりとシャロンをベッドへと下ろした。
俯くテオから決して視線を逸らさず、まるで母親が我が子に諭すように話を続ける。
「お前はエルフに匹敵するほどの魔法を行使できる。その魔力は肉体に内在するエレメントの調和から生み出されるものだ。しかし、肉体に宿るエレメントの調和は『人並み』だ。すなわちエレメントの調和に過剰な負担を強いながら魔力を生み出している。結果、エレメントの調和を乱す。調和の乱れはすなわち肉体の崩壊を意味し、いずれは死に至る。」
テオの反応はない。
「難しいか? しかし頭を抱えるようなことでもない。要するに調和を乱さないよう制御できるまでは魔法は使うなということだ。私も常にそばにいるとは限らない。もし、近くに調和を治すことのできる者がいなかった場合、死に瀕することもあると念頭においておくべきだということだ」
少年は力無くこくりと頷く。
「……ごめんなさい。気をつけるよ」
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