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学校の校門にたどり着くと風が舞い桜吹雪が散った。
その愛おしい風景に俺の心がやっと春が来たことを理解させた。
「おーい、ヒロシ!」
「よう、サトシ」
後ろからの呼び声に俺は手を挙げて答える。
「やっと入学式だな」
「ああ、新たな門出だ」
「……早かったな」
俺達二人は我が校舎を見る。
それはとても神々しく輝いているように見えた。
そして俺達にはその場に立ち入ることに恐れを感じた。
「手が震えてるぜ。緊張してんのか?」
サトシに言われて初めて自分の手が震えているのを知った。
俺はそれを押さえてサトシの足に目をやる。
「サトシの足もガクブル状態じゃん」
「何言いやがる。こりゃ武者震いって奴だそれにもう……」
サトシが次に何を言うか俺には予想ができた。
「ああ、わかっている」
「「覚悟は出来ている」」
俺達の声は重なり合い一つの言葉となった。
そして俺達は堂々と歩みを進めはじめた。
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