はじまりのお話

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ごととんごとん、ごととんごとん。 激しく揺れる粗末な馬車の中で、ルロイは荷物を握りしめ、不安な気持ちをこらえるようにじっと身を固くしました。 窓の外には鬱蒼とした薄暗い森が延々と続き、整備されていない道は荒く、冷えて乾いた空気がこの哀れな少年の体温を奪っていきます。 「はぁ」 この旅が始まってから、何度めの溜め息になるでしょうか。あんまりにも溜め息しか出てこなくて、他の言葉を忘れてしまいそうです。
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