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そのしょんぼりした姿といったら。
上質なビロードの服は、すっかりくたびれて灰鼠のように薄汚れているし、蜂蜜色の巻き毛も若葉色の瞳も、輝きを無くして本来の美しさを隠してしまいました。
薔薇色だった頬もげっそりと青白くなり、やわらかな足の裏にはいくつも豆が出来て、じんじんと絶えず痛みます。
(お父様が今の僕をご覧になったら、なんと仰るだろうか…)
あたたかい大きな手の平を思い出して、ふいにルロイは泣きたくなりました。
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