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そして来たる入学式。 生徒会長として 壇上に立つ光への歓声に 鼓膜が破れそうだと 他のメンバーが舞台袖で 耳を塞いだところだった。 「お前らうるさいぞっ!」 一際大きな叫び声が 聞こえたのは。 黄色い歓声の中でも よく響いたその声に 周りの生徒や光までが そちらに視線を寄せた。 「光会長が困ってんだろ!」 集まった視線を気にも止めず 更に大きな声を上げる男。 それが問題の新入生、 山田涼介だった。 特別目立つ容姿はしていない 髪の毛を茶髪に染めた 至って普通の生徒であった。 しん、と静まり返る体育館を 不思議に思い 舞台袖の宏太たちも 耳を鬱いでいた手を下ろす。 「…気に入った。」 体育館にも響かない 小さな声で呟いた光の声を 聞き取ってしまった宏太は 口端を上げて笑う光の横顔に 胸がざわつくのを感じた。 __
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